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COLUMN

たかの友梨コラム

Vol.19

偉大なる『母』に想いを寄せて…―5月8日は、母の日―

2016/04

今の私を作り上げた、母の生ざま

母が亡くなり、早や10年。ご承知の方も多いと思いますが、私の母は育ての親でした。
先日、私のもとに突然貯金通帳が届きました。何かと思うと、名義欄には私の以前の名前が書いてあったのです。そう、決して裕福ではなかった母が、私のためにコツコツと小銭を貯めてくれていたんですね。当の母親は亡くなっていますし、私は美容家を目指していた頃に「友梨」と改名していましたから、名義の人物は実在しません。巡りめぐって10年もの月日を経て、私のもとへやっと辿り着いた、というわけです。
母は人に頼るのが嫌いな人でした。母子家庭で生活にも余裕はありませんでしたが、一切生活保護も母子手当ても受けず、母一人子一人でひっそりと生きてきました。私の高校進学の時も奨学金で行けるというのに「なんで五体満足のお前がお国の世話になるんだ」と。それで私は理容師の道へ進みました。それ以来私は一日たりとも休むことなく働き、そして“たかの友梨ビューティクリニック”を立ち上げました。今の私があるのは、母の潔い生きざまを見てきたからこそだと、つくづく思います。

すべてがきれいだった、母のように…

母が私に残してくれた一番の教えは、そんな生きざま、そして死にざまでした。母は87歳で亡くなりましたが、亡くなるその日まで元気に歌をうたっていました。そしてその晩コトンと…。本当にコトンと息を引き取ったのです。介護を受けるわけでもなく、寝たきりになるわけでもなく…。そんなきれいな生きざま、死にざまに私は非常に感動したものです。
母はすべてがきれいな人でした。洗濯をしても妙に白くなって畳んでもきれい。お勝手もお料理も植木をやっても、何もかもがきれいでした。私にもいつかやってくるお別れの時には、母のように「あの人はきれいだった」と言われたい…。そんな風に精一杯生きていこうと、改めて思いました。
私と母は他人だったからこそ、良い関係が築けたんですね。お互い他人だからちょっとずつ遠慮がある。それでいて「この子の名前は私がつけた!」と分かりきった嘘を堂々と言い切れるほどの、深い愛情もある。だからこそ本当に心から感謝し合え、慈しみ合えたのです。当社の社員も、もとはみんな他人です。他人だからこそ良い関係が築けているんです。他人ながらも親子のような良い関係を、これからも築いていきたいと願っております。
間もなく来る「母の日」は、改めて母へ想いを寄せてみたいと思います。私にももちろん生んでくれた母親がおります。
まずは、生んでくれてありがとう。そしてなんと言っても育ててくれた母親、ここまで導いてくれたその心意気、潔さにありがとう。
皆さんも大切なお母様に、どうぞ心からの感謝の気持ちを伝えてくださいね。